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O-40、選手が語る優勝への道のり
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O-40、選手が語る優勝への道のり
 
大会に参加すれども、勝利は遠く。


教室でover40のチームを作って、over40の大会に参加したのは2006年の秋。

波崎のグランドに行くと、大会に参加する他のチームのメンバーは、

どれも「おじさん」ばかり。

もちろん、僕らだって40歳以上のちゃんとした「おじさん」なんだけれど。

他のチームの「おじさん」は、おなかがぽっこりと出て、頭は薄いか白髪。

見るからに「本当のおじさん」ばかりだった。

「これなら勝てる」そう心の中で思ったのは、僕だけではないはずだ。

でも、現実はそんな甘いものではなかった。

40歳以上でサッカーの大会に出てくるチーム。

考えてみれば当たり前の話なんだけど、かつてサッカーをやっていた人たちのチーム。

僕ら「大人のためのサッカー教室over40's」のような

サッカー未経験者ばかりが集まったチームなんてひとつもない。

基本的にチームとして走らないし、足の早い人はいない。

でも、一度培ったテクニックは、そう簡単にさび付くものではない。

ボールのキープ力、トラップ、パス、ロングキック。

サッカーのテクニックでは、明らかに相手が上。それも格段に相手が上。



初戦で敗北。決勝トーナメントにすら進めないまま、2007年の初夏の波崎、

2007年の秋の御殿場と時は過ぎていった。

over40'sのメンバーは、そのまま年を重ねていった。

気が付けば、自分はover40ではなく、すでに50歳を超えていた。

「今度、over40の大会なんですよ」と話しても、サッカー教室の仲間からは

「楽しんできてくださいね」の一言。せいぜい「がんばっきてくださいね」。

「勝ってきてください」とか「優勝、期待してますよ」なんて

声をかけてくれる人は誰もいない。

きっと教室の仲間たちは、「40過ぎのおじさんたちが集まって、

楽しみながらサッカー大会に出ているんだろうな」と思われていたのだろう。

 
チームコンセプトは、ハードワーク。


だが、over40のメンバーは誰一人として、そう考えているものはいなかった。

毎回毎回、大会が終わるたびごとに「この悔しさをいつか晴らす」と

ある者は心に誓い、ある者は胸に秘め、闘志をみなぎらせていたのだった。

明らかに個の力で上回っているチームにどうやって勝つのか。

サッカーの経験も、スキルも、テクニックも上回っている相手に

どうやったら勝てるのか。

僕らが彼らより勝っているもの。それは、毎週サッカー練習をやっているということ。

スタミナでは上回るということ。彼らより多く走るということ。

そして、勝ちたいという意志。僕らが誇れるものは、それだけしかなかった。

その長所、メリットを最大限に生かして勝とうと考えたヨージコーチの

2008年春のover40チームのコンセプトは、「ハードワーク」。

中盤から相手に激しいプレスをかける。

ボランチとサイドハーフが連動して、プレスをかける。

相手にロングボールを蹴らせない。

最終ディフェンスラインはマンマークでディフェンスをする。

最初の練習でヨージコーチから今年のover40の戦い方を聞いたとき、

チームのみんなの反応は「そんな戦い方で20分間持つのか」

「2日目は足が動かなくなるんじゃないか」といった不安がちなものだった。

チームメイトの一人でも守備をサボると、そこにほころびができる。

ほころびを出さないためには、20分間集中を切らさないこと。

20分間走り続けること。守備から守備、守備から攻撃の切り替えを早くすること。

チーム全体で、相手チームのボールホルダーに厳しくプレスを与え続ける。

ボールを奪ったら、前線にすばやく送る。

華麗でも美しくもなく、無骨でどんくさい戦法。

だが、僕らにはそれしかない。それをやるしか、勝つ方法は残されていない。

問題なのは、はたして、それをやり続けることができるかどうかだった。

 

第一日 一試合目
前半 0-1
後半 2-0(パル、ナイト)


2008年6月14日土曜日。天気は快晴。
場所は赤城高原、千年の森J-wingsサッカー場。

初日の僕らの試合は第2試合と第3試合。

第1試合で対戦している2チームが、僕らの初日の対戦相手だった。

試合を外から見ていると、たいして走っていない。

姿かたちは、見るからに「本当のおじさん」。

相手チームの人が僕らを見て、「年齢ごまかしてんじゃないの」と言っていたけど、

外見だけを見れば体型の違いは明らかだった。

「勝てるんじゃないの」「今年はいけそうだね」

口には出さないものの、そんな気持ち、そんな油断がいつの間にか、

僕らの心の隙間に入り込んでいた。

第2試合(40にとっての第一試合)前半に失点。

練習したプレスがぜんぜん効いていない。

本人はプレスをかけているつもりなのに、距離がありすぎて、

相手は自由にプレイできている。

ズルズルと下がる最終ライン。

中盤ががら空きとなって、そのスペースを使われる。

練習したことが、まるで生かされていない。

このまんまじゃ、いつもの大会と何一つ変わらない。


ハーフタイム。ヨージコーチの檄が飛ぶ。

「みんな自分の持っている力をすべて出そうよ。

一人一人が100%の力を出そう。

一人一人がやるべきことをきちんとやらないと、

チームが120%の力を出すことなんてできないよ」。

ヨージの言葉がみんなの胸に染み込んでいく。

後半、ピッチにたったみんなの顔つきは違っていた。


中盤からプレスをかける。ボールを奪う。

奪ったボールを素早く前線に運ぶ。

前線のフォワードがそのボールを追い、ドリブルで一気にゴールに迫る。

ついに得点。パルのシュートが決まった。まだまだ。まだ同点に追いついただけだ。

何度となくチャンスをつかみ、シュートで終わる。

前半、シュートチャンスがありながらも、

最後をパスで終わっていたのが、きっちりシュートで終わるようになっている。

再び前線にいいボールが。それに追いつくナイト。

ベンチからは「ナイト、GO!」「最後までやりきれ!」という声が

怒号のように響く。ゴール!

先制されながら、それを逆転しての勝利。

大会初日、初めての勝利。初めての逆転勝利。

その勝利は、僕らみんなに勇気と自信を与えてくれた。

「俺たちだって、やればできるんだ」

 
第一日 二試合目
前半 0-0
後半 0-0


第3試合は、第1試合の勝者と対戦。組織だったプレイをするチーム。

ボールを持てる選手が何人かいて、それをマークするだけで精一杯。

だが、少ないチャンスにまたしても前線の選手が応えてくれる。

ガクとナイトが相手ゴールまでボールを運び、

ナイトのマイナスのえぐったパスにガクがシュート。

当然ゴールが決まったと思いきや、なんとオフサイドの判定。

疑惑の判定で幻のゴールに。結局、0-0のスコアレスドロー。

 
大会2日目


大会2日目。いつものようにお散歩とストレッチをしに、

玄関前に集合すると、すでにピッチでストレッチをしているチームが。

いままでover40大会には4回参加しているけど、

こんなにモチベーションの高いチームは初めて。

僕ら以外にも早起きしてストレッチするチームがいるなんて。

それが2日目の準決勝の対戦相手だった。

 
セミファイナル
前半 0-0
後半 2-1(ナイト、ガク)


前半は0-0。後半になると、相手の運動量が減ってくる。

またしても前線のナイトにボールが渡る。ゴール!

先制点。うちの勝ちパターン。

前線に足の速い選手をおいて、そこへのパス。

相手は足が遅くて、もはや追うことはできない。

油断していると、相手側のコーナーキック後の処理のもたつきを付かれて失点。

準決勝なので、引き分けだとPK戦にもつれ込んでしまう。

だが、そんな不安を拭い去ってくれたのがガク。

相手ディフェンダーの裏を付いてのゴール。

これが決勝点となって、ついにファイナル進出決定。

 
ファイナル
前半 0-0
後半 1-0(シマ)


ファイナルの相手は、昨日スコアレスドローだった第3試合の相手。

こちらの手の内はすでにお見通し。

試合前、ヨージコーチがみんなを集めて一言。

「これに勝てば優勝。もちろん勝つことを意識してやっていこう。

だけど、結果というのは、あとから付いてくるもの。

まずは、自分たちのやるべきことをきっちりやろう。

ピッチにいるものも、ベンチにいるものも、自分がいま、

チームのために何ができるか。何をしたらチームのためになるのか。

それを考え、持てる力のすべてを出し切ろう」

前半は0-0。なんとか失点を防いでいるのが精一杯。

相手も昨日とは違って、気合が入っている。

後半、ナイトが飛び出してキーパーと1対1。

「決めてくれ」と誰もが願ったボールはキーパーに弾かれて、

コーナーキックを獲得。

Sグラウンドで練習できなくて、新宿御苑に移動してやったコーナーキックの練習。

ボールが蹴れないので、配置と動きだけを確認したエアーサッカー。

その練習の成果を活かすときが来た。

ナイトの蹴ったコーナーキックに、1,2,3とゴール前に飛び込む。

シマが胸で押し込んでゴール!決して格好よくない、泥臭いover40らしいゴール。

1-0とリードしたものの、ここからが勝負。相手は怒涛の攻撃。

僕らは残り時間を気にしながら、なんとか耐える。

相手裏にシマが飛び出したものの、「コーナーに逃げろ」の指示。

下手にボールを失ってピンチを招くよりも、

ゲームを有利なままクローズさせようという勝利にこだわった采配。

ナイトがコーナーキックを蹴ろうとしたその瞬間、鳴り渡る試合終了のホイッスル。

 

 
戦いを終えて


勝った。優勝しちゃったよ。みんなの笑顔が弾ける。

足首を痛めたヨージコーチに代わって、なぜか僕が胴上げ。

そして、この日、誕生日を迎えたヤマを胴上げ。

忘れられない、最高の誕生日になったね、ヤマ。

初の優勝。それもチーム一丸となっての優勝。

優勝の盾を受け取り、優勝賞品を受け取る。

優勝したことはもちろん、うれしい。でも、それは結果でしかない。

優勝したという結果よりも僕らがうれしかったこと。

それはチームが一つになって戦ったこと。

自分のやるべきこと、自分のできること、

自分のやらなければならないことを100%やりきったこと。

チーム全員の顔に「俺はやりきった」という自信と誇りがみなぎっている。

サッカーの上手い人なんて、一杯いる。上を見たら、きりがない。

でも、サッカーが下手だからって、何もへこむことはない。

へこむとき、恥ずかしいとき、それは自分の持つ力を出し切れなかったときだ。

自分の持てる力をすべて出し切ることができたら、それはもうヒーロー。

この日、over40のチームメイトは、全員がヒーローだった。

やるべきことをやる。できることをやる。ただやるのではなく、最後までやり抜く。

そうすれば、自ずと結果は付いてくる。

ヨージの立てた「ハードワーク」という戦略は、ずばり当たった。

でも戦略だけでは勝てない。ヨージコーチの熱い魂がみんなに伝わったからの勝利だ。

チームの戦略、チームの意図を理解し、チームのために走り続けた仲間を

僕は誇りたい。誰一人が欠けていても、この優勝はなかったよ。

そして、その優勝に少しでも貢献できたことが、僕にとっての最高のご褒美でした。

ありがとう、ヨージコーチ。ありがとう、over40の仲間たち。

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